Type IVフリーGr.91鋼固相拡散接合継手のクリープ破断特性

摘要

Gr.91鋼等の高クロム鋼には、溶接熱影響部（HAZ）に細粒組織と後熱処理によって軟化したType IVと呼ばれる領域が生成し、溶接継手のクリープではこのType IV域においてボイドの生成を伴い、母材よりも著しく低い強度で破断することが知られている。そこで、Type IV域が生成しない（Type IVフリー）Gr.91鋼継手を作製する方法として固相拡散接合を適用し、得られた継手のクリープ破断特性について検討した。接合温度は溶接後熱処理温度の750°Cおよび母材の焼ならし温度である1050°Cの固相領域とし、接合部を平行部中央においた試験片を用いてクリープ破断試験を実施した。その結果、固相拡散接合によってGr.91鋼の冶金的接合が得られ、接合部界面破断の場合であっても母材と同等のクリープ破断強度が認められ、またType IV域に相当する軟化域があった場合にはそれよりも強度が高く、接合部での破断はみられなかった。本研究では、Gr.91鋼の真空固相拡散接合部の金属組織学的特性と接合継手のクリープ破断特性について検討したので、その結果について報告する。