除染完了への取組み

摘要

除染特別地域の除染は、対象面積が24,800ha、家屋23,000件、農地8，700ha、周辺森林7，800ha、道路1，500haに及んだ。これに要した延べ作業員数は13,700,000人、一日最大作業員数は20,000人にのぼり、除去土壌量は9,100,000m~3が発生した。除染工事は、避難指示に従い地域住民が不在の区域や、日常生活を継続している地域においても進める必要があった。また、除染対象物のほとんどが個人財産であるために、個々の状況に対応した除染工事が必要となるなど、除染工事が持つ特有の課題に対応しなければならない点が多くあった。このため、人力による丁寧な作業であることに加え、地域住民との調和、協調も重要な活動であった。除染工事範囲の全体面積が広大なため、約定工期内で行う除染箇所の数が非常に多くなつた。従って、除染作業は基本的に人力によるところが多いため、数千人規模の作業員が必要となった。こういった状況の中で、建設会社の役割は、施工管理のみでなく、必要十分な作業員の確保とその宿舎の調達や、工事に関連した教育や健康•安全管理、更に各地域社会•住民と信頼関係を築くための作業員一人ひとりの社会生活指導をするなど、作業員全員に対して多方面にわたる管理が求められた。日本建設業連合会の下部組織である中間貯蔵•除染部会は2016年10月に、請負事業者の立場からこれらの活動をまとめたパンフレット『復興に向けた除染へのさらなる取組み』として発行した。建設会社が行った除染工事における取組について、このパンフレットをもとに報告する。