振動水柱(OWC:Oscillating Water Column)型波力発電は,図1に示すように空気室内の水柱の往復運動により発生する空気流を利用し,空気タービンを用いて発電する方法が一般的である.一方,福富らは垂直軸タービンを用いたOWC 型波力発電装置を提案し,その性能を実験と数値解析により明らかにしている.この発電装置では,クロスフロータービンが水車として振動水柱の中に設置され,往復水流で常に同一方向に回転できる.しかし,タービンの保守や発電機の小型化の観点から,タービンの作動流体は海水より空気が好ましく,また往復水流より流速が高い往復気流でのタービンの使用が望まれる.そこで著者らは,図1に示すように往復気流中で垂直軸タービンが作動する波力発電装置の開発を目指している.本研究では,新しい波力発電用空気タービンを提案するため,垂直軸タービンとして構造が簡素な直線翼タービンを採用した.そして,研究の第一段階として,定常流を用いたタービン単体の性能試験を行い,性能に及ぼす弦節比の影響を調べた.
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