低比速度,低機械レイノルズ数遠心血液ポンプの設計に関する研究

摘要

2009年に臓器移植法が改定されたが，重度の心疾患患者数に対するドナー数が不足している問題は改善されていない．近年，心臓移植までの繋ぎとして様々な血液ポンプが研究開発されており，2010年12月に磁気浮上式遠心血液ポンプであるテルモハート社のDura Heartが日本国内で販売認可を得た．遠心血液ポンプの内部流れは，粘性が支配的な流れとなり，このポンプは低機械レイノルズ数，低比速度領域に属する．そのため，一般的なポンプ設計法を用いた場合，羽根高さが1.0mm以下となり，十分な発生圧力と流量が得られないことから，これまでの設計法を適応するのは困難である．そこで，本研究では小児用，成人用遠心血液ポンプの種々の形状を変更したポンプモデルを用いてCPD解析を行い，それらのポンプ特性を調査した．その結果，低比速度，低機械レイノルズ数領域に属する遠心ポンプに対して，粘性を考慮した比速度を考案することにより，最高効率を予測でき，また遠心式ポンプの限界を明らかにした．