緩和時間から見たXLPE の空間電荷蓄積と伝導

摘要

電気絶縁材料の特性を評価する手法として，通常，測定しようとする特性に応じた個別の計測が行われる。電流積分電荷法（Q(t)法と略）は，試料と直列に接続した積分コンデンサに全ての電流成分を積分することにより，課電前から短絡直後までの電流に関わる物理現象を網羅的に見ることができる手法である。計測が簡単で，電荷量を直接測定することをうまく利用すると多くの情報を得ることができるため，最近，徐々に使用する研究者が増えつつある。ここでは，試料としてAC 送電に使用される架橋ポリエチレンを用い，矩形波電圧印加直後の立ち上がりに相当するQ(0)（＝CsV）と，t_m 秒後の電荷量であるQ(t_m)の比（電荷量比，Q(t_m)/Q(0)）から，代表的な誘電特性の一つである緩和時間τを求める手法について検討・評価した結果を報告する。