許容可能な設定温度の推定に基づく空調制御の評価：冷房利用

摘要

二酸化炭素の削減が世界的に重視されてきており、最近発行されたInternational Energy Agency（IEA）の『NetZero by 2050-A Roadmap for the Global Energy Sector』(1)によると、2050 年に二酸化炭素の排出量をネットゼロにするために2050 年に建設されたビルでは冷暖房の消費エネルギーを2020 年比で20％にする必要があることが述べられている。これは、ビル内で消費されるエネルギーのうちで冷暖房の占める割合が大きいからである。例えば、日本のビルにおける空調の消費エネルギーは40%程度であり（熱搬送分含む）(2)、家庭では27％程度である(3)。一方で、今後、冷房の利用が広がって2020 年比で2050 年にはエアコンの利用割合が35%増加して、世界的に60%の家庭で冷房を利用する見込みであるため、高効率なエアコンの導入に加えて、設定温度に関する利用者の行動変容が必要であると指摘されている (1)。