ビキ二水爆実験と福島第一原子力発電所事故の対比を求める不合理な査読プロセスから学hだ教訓

摘要

1954年の5月と9月以降にそれぞれァメリカとソ連が実施した大気圏内核実験に起因する放射性降下物を含む雨水が国内各地で見つかったことについて,その当時の観測データ(雨水中全β放射能)を現在広く使用されているマニュアルの手順に合わせて再解析したという内容の「資料」論文を,国内学術誌に投稿したところ,編集委員会から,ビキニ水爆実験と福島第一原子力発電所事故の観測データを比較するようにとの要望があった1。また,雨水中全β放射能測定の「今日的」意義を追記せよ(それを書くと今何故このテーマを取り上げるのかが分かるのだそう)との要求もあり,ここからも原発事故との何らかの関連付けをさせたいという編集委員会の強い意向が感じられた。しかしながら,それらの要望等は,本論文の主題からかけ離れており,追記すべき必然性が見つからないこと,また,その時点で査読者からの(マイナーな)コメントへの対応は既に完了していたことから,丁重にお断りした。