磁歪振動発電によるドア動作型電池レス温湿度無線センサとその実装評価試験

摘要

近年，IoT（Internet of Things）の導入が本格化しており，2021 年には450 億台のIoT 端末が普及すると予測されている。しかし，その普及の課題となっているのが無線モジュールの電源である。全ての端末に電池を内蔵する，または有線で電力を供給するのは現実的に困難で，この電源として注目されているのが環境発電である。環境発電とは身の回りに存在する光，熱，振動などから発電を行う技術で，我々はその一つの振動発電に関して研究を行っている。我々は，これまで振動発電デバイスに励振機構を取り付け，ボタンを押す動作で発電し，この電力でON/OFF 情報の送信する無線端末の開発に成功している。今回，これを改良し，温度と湿度の情報も送信するシステムを提案する。応用として，これを業務用冷蔵庫や工場内のクリーンルームに設置することで，温湿度情報が手軽に得られ，室内の「見える化」が容易になる。現在，このようなデータは人が現地で計測する場合も多く，これが負担になっている。例えばドアの動きを電源に，デバイスが，これらセンサ情報を遠隔に送信し，サーバ等で記録することで，人が計測する手間をなくせる。以上より，本研究ではドア動作で発電し，これを電源に温湿度情報を送信する無線センサを開発する。従来に対し，センサを追加することで，端末でより大きなエネルギーが必要になったため，回路の効率に着目し，改良を行った。結果，ドアの動作による温湿度情報送信に成功した。また，これをクリーンルームのドアに取り付け，2 週間のモニタリング試験を実施したので報告する。