交互積層型有機半導体結晶中の分子間相互作用

摘要

2,7-dialkyl[benzothieno[3,2-b][ benzothiophenes (diCn-BTBT) と TCNQ からなる結晶は n-型半導体として動作することが知られており、結晶中で diC4-BTBT と TCNQ は図１に示すように交互に積層しカラム構造を形成している。有機半導体の電子輸送は、主に最高占有分子軌道の重なり（電子トランスファー積分）やこれにもとづくバンド構造により決まると考えられるが、これらを決定づける結晶中の隣接分子の配列は分子間相互作用が支配している。結晶構造からは電荷移動相互作用が diCn-BTBT と TCNQ からなる結晶を安定化していることが示唆されるが、結晶中の分子間相互作用の詳細は十分に解明されていない。そこで本研究では密度汎関数法計算