複合加工機におけるベッドを考慮した熱変形解析モデルの開発

摘要

近年，機械部品の精密化が要求され，それに伴い加工機による高精度な機械加工が求められている．しかし，機械加工において加工精度を低下させる要因として，加工機内外の発熱や温度変化による熱変形が指摘され，機械の高速回転化が進む中，その問題はより一層顕著になっている．さらに，一般に加工機が起動後熱的安定状態に達するまでに数時間かかり，その間は加工精度も安定しない．そのため，熱変形防止対策として，発熱部を冷却する熱源自体に対する対策や，熱変形をキャンセルするためのフィードバック制御など制御面からの対策がなされている．しかし，これらの方法は効率面，コスト面，メンテナンス性など問題も多くあり，これらの手段を用いたとしても発熱の影響を完全に取り除くことは困難である．また，従来の加工機の多くは加工精度の低下を抑制するために，熱変形が対称に発生するような構造形状に設計されているが，近年では，作業性や切り屑の除去性の向上，コンパクト化の実現のため，傾斜を持たせたスラント構造が主流となっている．ところが，この構造では熱的に変形を対称に発生させることが困難なものとなり，反りや傾きが増加し，加工精度を低下させる大きな要因となっている．