磁場を利用した六方晶窒化ホウ素/ポリイミド複合材料作製に おける磁場処理温度と材料物性の関係

摘要

近年,精密機器内部における放熱対策の重要性が 増しており,高温熱源とヒートシンクの微細な隙間 を埋めるための放熱材料(TIM)の開発が進hでいる.TIM の中でも,ポリイミド(PI)は絶縁性や接着性に 加えて高い耐熱性を有する.一般にポリマーは熱伝 導率が低いため,ポリマー中に高熱伝導性フィラー を添加する研究が行われているが,フィラーの高充 填はポリマーの特性低下を引き起こす.フィラー低 充填で熱伝導率を向上させるために,磁場を用いて ポリマー中のフィラーを配向させ,伝熱路を形成す る手法が有効であると考えられており1),この手法で は効率よいフィラーの配向構造形成が重要となる.そこで本研究では,高熱伝導性PI 複合シートの作製 においてフィラーの配向構造の形成を磁場処理時の 温度で制御することに着目した.具体的には,六方晶 窒化ホウ素(hBN)表面に酸化鉄を修飾することによ って磁性を持たせたFe-hBN フィラーを作製し,FehBN/PI 複合膜の熱伝導率に対する磁場処理温度の影 響について検討した.