様々な組成のゲル基板上における細胞遊走試験のための inkjet 式バイオプリンティングによる細胞パターニング

摘要

近年、けがや病気の治療のための創薬が盛hに行 われている。これらの薬は人間に対して使用する前 に安全性を確認する必要がある。この確認手法とし て以前からスクラッチテストが行われてきた。この 方法は安価で簡単であるが、細胞を傷つけてしまう· 硬い基板表面でしか行うことができないという欠点 があった[1]。細胞を傷つけずに配列する技術として 細胞パターニングに注目した。この技術は基板表面 を局所的に改質することによって生細胞を配列·固 定するものだ。本研究では低コストで簡単に、かつ生 体適合性の高い材料を用いて細胞パターニングを行 うことのできるインクジェット式バイオプリンティ ングを用いた。また、生体に近い柔らかい基板として ヒドロゲルを使用した。このヒドロゲルの作製には 西洋わさび由来ペルオキシダーゼ（HRP）酵素反応を 利用した。HRP は過酸化水素(H2O2)存在下で高分子 に導入したフェノール性水酸基間を即座に架橋する。 この反応は穏和に進行するため細胞存在下でも行う ことが可能である[2]。また、反応条件や高分子濃度· 高分子種を変更することで硬さや細胞接着性など 様々な性質を持った基板を作製することができる。 本研究ではこのヒドロゲルを利用し、様々な高分子 を用いて細胞パターニングの作製を行い、細胞遊走 試験のためのモデル作製を目指した。