冬季の室内湿度の違いと想像温度の関係性に関する人工気候室における実験研究

摘要

本研究では人工気候室を用いた被験者実験を想像温度の違いや湿度がヒトの寒暑感や血流量に与える影響を調べた。その結果、以下の知見が得られた。1) 相対湿度60%の室内環境では開始時と終了時の想像温度に差はあまりなかった。相対湿度30%と70%では想像温度は減少傾向にあった。湿度は想像温度に影響を及ばしているにあったと考えられる。2) 血流量は全ての湿度条件で変動が見られた。湿度が低いほど血流量の値は小さくなり、人体は入室直後すぐに影響を受けていたと考えられる。3) 寒暑感と想像温度の関係では想像温度が1°C上がると寒暑感は+0.05(暑い側)の変化が起きた。寒暑感1?3(寒い側)は男性の方が想像温度を高めに申告していたが、尺度5?7(暑い側）では女性の方が想像温度を高めに申告していた。しかし、全体としては男女に有意な差はみられなかった。4)想像温度のメカニズムを解明できれば、不快を最小としつつ、しかも投入電力をも最小化できるような空調設備機器の開発が可能になると思われる。