省エネ運転シミュレータの開発: 貨物列車向け運転シミュレータへのエネルギー評価機能の構築

摘要

列車の運転方法を工夫して消費エネルギーを削減する省エネ運転の取り組みは、理論的な検討や実車を使用した試験など幅広く行われている。筆者らは、貨物列車を対象にする省エネ運転方法を提案し、走行試験によってその効果を確認している。提案する省エネ運転方法を広く実施するには、自動運転システムへの組み込み、運転支援システムによるアシスト、乗務員への教育?訓練といった方法が考えられるが、機関車に対して新たなシステムの導入を行わずに実施可能な方法は乗務員への教育?訓練である。しかし、乗務員が省エネ運転を習得するに当たり営業列車での試行錯誤は様々な課題があり困難である。具体的には、営業列車での試行は列車運行への影響が懸念されること、貨物列車のけh引質量は日々異なるために同一条件での比較が困難であること、貨物列車は長距離を無停車で走行するため信号現示の影響を受けやすいことなどが挙げられる。そこで、これらの課題のない運転シミュレータにて試行錯誤することが望ましい。従来、運転シミュレータは異常時対処の訓練を主目的として構築されており、消費エネルギーを算出する機能や省エネ運転の訓練プログラムは用意されていない。そこで、省エネ運転を習得するための省エネ運転シミュレータを開発した。