高齢者施設の感染症事例とその対策

摘要

本報告では、現在、高齢化の進展に伴って増加している高齢者福祉施設で発生している感染症の現状について、事例から見える課題を抽出し、その解決の方策を整理する。80歳以上の年齢層は結核既感染率率が高いため、再燃に伴って施設内で排菌患者が発生した場合、多くの入所者等の接触者健康診断が必要となる。排菌状態となる前に再燃の有無をスクリーニングするには、定期健康诊断の受診が重要である。また、感染性胃腸炎やインフルエンザ等の感染症は、施設内に病原体が持ちこまれると、その制圧にはしばしば困難を来し、労力も費やす。施設関係者は有効な感染予防策を講じなければならないが、自施設の対策上の盲点や注意点を認識するには、環境評価の重要性が更に普及し、一般化していくことがある、最も大事な感染対策である。