ハイパスフィルタを通した歯形·歯すじ形状測定結果を利用した歯面擬似粗さ評価

摘要

自動車用トランスミッシヨンで用いられる歯車は，粗切りされた後，仕上げ加工の工程を経る.ギヤノイズに対する低減要求が年々厳しくなってきていることから，歯車の仕上げ加工はシェービングから歯研へと変わりつつあり，場合によってはさらにスーパーフィニッシュを行うことによって歯面の表面性状を表すパラメータのーつであるRaをサブミクロ @2ンオーダーに抑える.こうした加工の工程を経た後，歯車測定機によって歯車の歯形やピッチ等，その幾何形状を測定し，製作された歯車と設計上の歯車寸法の比較を行って誤差を導出し，そこから加工された歯車の歯面形状や傾き·うねり·丸み·ばらつき等を指標として求められた歯車精度を評価する.また，仕上げ加工を施された歯面の表面性状に対する指定があれば，粗さ測定機によりそれを評価する必要があるが，歯車測定機によって得られたデータにも歯面に記憶された粗さに関する情報が含まれていると考えられることから，その情報を抽出できれば複数の測定機器を用いて歯車の評価を行う必要がなくなる.しかしながら，このような観点で歯車測定機を歯面の粗さ評価に用いる研究報告は少なく，どのような条件で計測，そして得られたデータの信号処理を行えば良いのか明らかではない.