内歯車スカイビングにおける逆送り加工に関する研究

摘要

キに内歯車の高速高精度加工法として，ギヤスカイビング加工が利用されている.この加工方法では，カッタと歯車材を歯数比で同期して回転させながらカッタまたは歯車材を歯車軸方向に送ることで，歯車の全歯幅を加工する.その送り方向は，カツタの回転による切削運動の方向と同じ向きに限定され（図1),加工済みの歯溝とカツタが干渉するためホブ加工のように送り方向の変更はできないと一般的には考えられている.しかし，全歯たけを複数パスで加工していくときの最終パスでは，加工精度を重視して切込み量はそれ以前のパスと比べて小さい.切込み量が小さければ，カツタと歯車歯面が干渉せずに，通常と逆方向に送って加工ができるのではないかと考えられる.もし，逆送り加工が可能であれば，フライス加工のダウンカットと同様に，切削開始時の切り取り厚さが增し，カツタが歯車材に喰い付きやすくなり，カツタの擦れが軽減される可能性がある.また，歯車からカッタが抜けるとき（加工終了端部），片歯面切削状態になり歯すじが曲がることがある.歯車材への喰い付きがよくなればカッタが逃げにくくなり，歯すじ曲がりが軽减できる可能性もある.さらに，熱処理後の歯面仕上げスカイビング時においても，喰い付きの良さは工具寿命延長に効果的であると考えられる.