AZ31マグネシウム合金丸棒材の引張り圧縮負荷反転に伴う応力一ひずみ関係と破断

摘要

マグネシウム合金は最密六方結晶構造（hcp)を有してお り，室温で活動し易いすべり系が限定されているため，塑 性変形時に集合組織を形成しやすいことが知られている. 丸棒や円管などの長尺材は通常，押出し加工や引抜き加工 などによって製造されるが，その過程で比較的強い集合組 織を形成し，塑性異方性が成長する.一方，マグネシウ ム合金では限定されたすベり系を補うために変形双晶が生 じる.この変形双晶は特定の結晶方位と変形方向の関係に 基づいて活動し，特異な応力一ひずみ関係をもたらす. したがって，マグネシウム合金長尺材の利用にあたっては， 塑性異方性とそれに伴う力学的挙動の変化を正確に掌握し ておくことが重要である.しかしながらマグネシウム合金 に対して，負荷反転を伴う応力履歴下での力学的挙動を調 ベた研究例は限られており，初期集合組織や予変形が後 続変形や破壊に如何なる影響を及ぼすかについては，まだ 不明な点が残っている.