マグネシウム合金押出材の衝撃引張応力-ひずみ特性

摘要

3種類の展伸用マグネシウム合金の高ひずみ速度（最大ε≒10~3／s）下の押出方向の引張応力-ひずみ特性を，ホプキンソン棒法により決定した。 ひずみ速度がそれらの引張強さ，破断伸び，吸収エネルギーに及ぼす影響について，詳細に検討した。 その結果，次のような新しい知見を得た。 （1）同一オーダのひずみ速度下での流動応力レベルを比較すると，引張強さの大小関係と同様に常にZK60A－T5＞AZ61A－F＞AZ31B－Fの順となる。 しかし一定のひずみに対応する流動応力のひずみ速度依存性の大きさを定量的に評価すると，ZK60A－T5＞AZ31B－F＞AZ61A-Fの順となる。 （2）破断伸びのひずみ速度依存性については，AZ31B-Fにはひずみ速度依存性ははとhどなく，AZ61A－Fには正のひずみ速度依存性，ZK60A－T5には負のひずみ速度依存性がある。 （3）吸収エネルギーについては，AZ31B－F，AZ61A-Fが正のひずみ速度依存性を示し，ZK60A－T5は逆に負のひずみ速度依存性を示す。 （4）高ひずみ速度下での引張試験から決定した吸収エネルギー値の大小関係と衝撃曲げ試験によるU切欠き試験片のシャルピー衝撃値の大小関係との問には，特に関連性は見られない。