断熱動作に基づく超低消費電力超電導ディジタル集積回路技術

摘要

AQFP回路は、エネルギー効率において既存のCMOSに対して6桁以上優れており、ハイエンド情報機器の消費電力を飛躍的に低減する技術として、今後の発展が期待できる。一方、AQFPの可逆回路としての利用も興味深い。AQFPゲートは可逆ゲートであり、励起電流の時間半転移より論理を逆方向に演算できる。この操作が可能であれば、演算におけるエネルギー下限値として予想されているLandauerリミット(?kBT ln2)を下回るエネルギーでの演算の可能性が出てくる。これまでに多数決ゲートに基づく可逆ゲートが提案されており、数値シミュレーションにより演算エネルギーの下限値がないことが示されている。AQFP回路はこれまで理論的な研究が中心であった可逆回路の研究分野において、実現可能なデバイスに基づく研究課題を提供する。今後のこの分野での大きな発展に期待したい。