架橋グラフェンを用いた光干渉型表面応力バイオセンサの検出感度解析と抗原抗体反応検出

摘要

化学物質やたhぱく質等の生体分子を検出する小型センサとして、抵抗変化を検出するセンサや、共振型質量センサ、表面応力センサ等の様々な方式が研究されている。これらのセンサの検出感度を向上させるために2次元材料のグラフェンを用いたセンサの研究が行われている。グラフェンは、非常に高い電子移動度を示し、比表面積が大きく、また機械的に硬く低質量であることからセンサの材料として有望である。特に、中空に架橋したダラフェンは、電子移動度200000cm~2/Vsを示すことが報告されており、グラフェンへの分子吸着による抵抗変化率を大きく向上させることができる。また、薄く軽い架橋グラフェンを用いることで、超高感度な質量センサや応力センサが期待できる。現在、架橋グラフェンを用いたセンサの先行研究として、2酸化炭素1分子を架橋グラフェン上で検出した報告がされているが、このセンサは検出対象の分子を選択的に検出する能力を備えていないため、センサとして実用化することが難しい。そこで、基板上のグラフェン表面に溶液処理で化学修飾することによって、選択的に生体分子を検出するFET型バイオセンサの報告がされている。しかし、FET型バイオセンサでは、たhぱく質のように大きな分子ではデバイ長の範囲を超えてしまうため、検出が難しい課題があった。これらの課題を解決するため、本研究室では溶液処理に対するロバスト性を備えた架橋グラフェン構造を作製して化学修飾を行い、表面応力センシングによって選択的分子検出ができる事を実験的に示してきた。表面応力センシングではデバイ長の制約を受けずに、抗体などの大きな分子をレセプターとして用いたバイオセンシングが可能になる。