途上国におけるダイオキシン類の汚染研究

摘要

塩素化ダイオキシン類（PCDDs，PCDFs，dioxin-likePCBs［DL－PCBs］）は環境残留性·生物蓄積性が高く、毒性影響が懸念される化学物質であることはご承知の通りです。先進諸国では、これまで多くの塩素化ダイオキシン類（Cl－DRCs）に関する汚染実態調査やリスク評価が実施されており、焼却施設の改善や農薬（PCPやCNPなど）の生産·使用が規制されたことから、様々な環境媒体におけるCl-DRCs濃度に低減傾向、が確認されています。一方、途上国ではCl－DRCsに関する包括的な調査研究が依然として少ないのが現状です。経済発展が進み人口増加の著しいアジアの途上国では、多量の廃棄物が大規模な都市ゴミ集積場に投棄され、自然発火や意図的焼却により低温で燃焼している場所が存在しています（図1）。このような開放型の都市ゴミ集積場では、燃焼に伴うCl－DRCsの生成が予想され、周辺環境への汚染の拡大も懸念されます。