離散時間予測型PI 制御器の未知むだ時間系への適用

摘要

むだ時間系の制御は重要な課題の一つである。特にプロセス系においては，むだ時間を有する系が多いだけではなく，時定数と同等もしくは時定数より大きいむだ時間をもつ制御対象も存在することから，盛hに研究されてきた。大きなむだ時間をもつ対象を効果的に制御することが可能な手法として，スミス予測器やモデル予測制御があげられる。まず，スミス予測器は，従来の制御器に関してむだ時間補償器を構成する手法である。この補償器により，制御対象のむだ時間要素のみがフィードバックループから追い出される。よって，むだ時間のない制御対象とみなして制御器を構成することが可能となる。次に，もし制御対象の正確な動的モデルがあれば，制御変数の将来の値を予測して操作量を決定することがすることが可能であることは明らかである。この直観的な考えに基づき制御アルゴリズムとして整理した手法がモデル予測制御であり，プロセス制御システムとして製品化もなされている。