大規模健康診断での身体装着型歩行機能評価システムの精度改善

摘要

近年，運動機能と認知症リスクとの関係性が注目されており[1]-[4]，認知症の予兆や軽度認知障害の早期発見のための指標の一つとして歩行動作の調査が行われている．弘前大学では2005年より青森県や弘前市と協力して旧岩木町民約 1000 人を対象とした大規模な健康診断(岩木健康増進プロジェクト)を毎年行ってきた．このプロジェクトは，県民の健康増進や病気の発見や予防のためのアルゴリズム開発を目的としている．その中で，10[m]最大速度歩行の計測も行われてきた．しかし，従来の方法では計測者が被験者に並走しながらストップウォッチを用いて歩行速度を計測しており，計測者に大きな負担がかかっていた．また，歩行速度の他にも歩幅や歩調なども認知症に深く関係していることから，歩行動作を定量的に評価することが重要視されてきている．そこで，著者らは無線慣性計測装置(Wireless Inertial Measurement Unit: WIMU)を用いた歩行解析システムの研究に取り組hできた[5]-[7]．しかし，通常速度の歩行を対象として開発した歩行解析システムでは最大速度歩行に適用できない場合が多かった．そこで本研究では，最大速度歩行に対応した歩行解析ステムの開発を行い，精度改善の効果を確認する．