Cu-Fe二元合金の組織と低温引張特性

摘要

金属材料の機械的性質の湿度依存性はその結晶構造によって変化することが知られている1）。Cuをはじめとする丘c金属では機械的性質の温度依存性が小さく、低温環境下でも良好な延性が得られるが、強度が低い。一方、bcc金属では機械的性質の温蜜依存性が大きく、温度低下に伴い強度が著しく増加するが、脆性破壊を呈するようになる。fcc相とbcc相が混在する（フェライト＋オーステナイト）二相ステンレス鋼では温度低下に伴い強度一延性バランスが改善し、優れた機械的性質が発現することが知られている2）。この要因として、温度低下に伴いオーステナイト相の安定性が低下し、変形中にオーステナイト相がマルテンサイトへと変態することで生じる伸び改善効果（TRIP 効果)が重要な役割を担っていると考えられている。しかし、両相が安定な二相合金についての低温引張特性については調査がほとhどなされておらず、二相材の優れた低温引張特性がTRIP効果のみでもたらされているかは定かでない。