刺激音の出現確率に基づく予期がオリーブ蝸牛束反射に与える影響

摘要

上オリーブ複合体から外有毛細胞 (OHC)へは，オリーブ蝸牛束と呼ばれる遠心性神経の投射がある．オリーブ蝸牛束は音刺激により活動し，OHC の増幅機能を抑制することが知られている（オリーブ蝸牛束反射）．オリーブ蝸牛束反射は，雑音下での聞き取りの改善[1]や内耳を強大音から保護する機能を果たしていると考えられている．さらに，オリーブ蝸牛束反射が選択的注意の影響を受けるという報告もある．著者らはこれまでに，刺激音出現のタイミングを知らせる先行刺激を呈示することによって，オリーブ蝸牛束反射が強まるということを報告してきた．この結果は，オリーブ蝸牛束反射が予期の影響を受けるということを示唆している．