補強材一体ふとh籠による補強土壁の施工

摘要

兵庫県たつの市で建設中の中国横断自動車時重トンネル工事において，本線施工のための工事用道路が必要となり,山間部切土部へ工事用道路を構築するため，補強土壁を採用した．建設される現場は，山間部谷部であり，集水地形にある．工事用道路の使用年数と，本線供用後も補強土壁の一部が永久構造物として残ることを考慮すると，地下水位の排水処理が重要となる．通常の補強土壁では，排水処理の不良により地山面の地下水位が上昇し,盛土材のせh断抵抗力やジオシンセティックスの引き抜き抵抗力の減少を招き，安定性を大きく低下させる可能性がある．また,排水処理の不良は，盛土材の強度低下を招くことから，地震による耐震性能の低下も考えられる.本工事では，排水性の保持を考慮し，最下段部に,補強材一体ふとh籠とジオシンセティックスを併用した補強土壁を適用した．補強材一体ふとh籠は，図-1 に示すように，前面のふとh籠と補強材が一体構造であり,前面のふとh籠部に栗石を充填することから,排水性に優れている.本論文では,現場で適用した補強材一体ふとh籠補強土壁の施工及び施工後の動態観測結果について報告する．