母板に拡大孔?長孔を有する高力ボルト摩擦接合継手に関する解析的検討

摘要

国内における高力ボルト摩擦接合継手のボルト孔の標準ボルト孔径は，ボルトの呼びM20,22,24 に対しては呼び径+2.5mm が一般的である．しかし，部材の取合いや製作精度の関係で標準ボルト孔径では施工が困難な場合がある．このため，道路橋示方書では施工上止むを得ない事例については呼び径+4.5mm までの拡大孔を許容しているが，さらに余裕が必要な場合には，母板のボルト孔を長孔に変更する等の処置が選択される場合もある．一方で， 欧米では, 連結板は標準孔とし, すべり耐力を求めるためのすべり係数を低減することにより，母板に拡大孔?長孔を使用することを認めている.本研究では, 摩擦面の処理を昨今の鋼橋で一般的な厚膜型無機ジンクリッチペイントの塗装とした高力ボルト摩擦接合継手に対し，連結板を呼び径+4.5mm の拡大孔，母板に連結板よりも大きな拡大孔あるいは長孔を使用した場合のすべり係数について，非線形FEM 解析を行うことにより検討する.