平成29 年7 月九州北部豪雨による流木発生要因の分析について

摘要

近年，記録的豪雨に起因する大規模洪水?土砂災害が多発している．このような災害においては，氾濫や斜面崩壊などに起因する被害が主要なものである．一方で，斜面崩壊や河岸の浸食の発生などに伴い，多くの流木が河道に流出して，洪水被害を助長している．平成29 年7 月九州北部豪雨（以下，29 年豪雨）では，7 月5 日の昼頃から夜にかけて，福岡県から大分県にわたる地域で観測史上最も多い記録的な雨量を観測した．また，大量の流木が発生し，福岡県の朝倉市と東峰村，ならびに大分県の日田市で被害が生じた．各被災河川の流木発生に関する推定情報を表-1 にまとめた．寒水川，奈良ヶ谷川，北川，白木谷川，赤谷川の5 河川では大規模な流木発生があった．赤谷川は流木量が最も多く，土砂や流木による河道埋塞により氾濫が多数発生し，今次出水における被害の典型を示した．