阪神大震災の報道傾向から見る災害発生直後に専門家が果たしうる役割についての基礎的検討

摘要

日本では数多くの自然災害が発生しており、その中で専門家が災害の発生機構の解明やその後の防災への貢献等求められる期待は大きい。しかしながら平時の研究と災害発生後ある程度の年月経過後の調査や研究に比べ、災害発生直後に専門家がなしうる役割については限られているという現状がある。本研究では被災者のニーズとそれに対する専門家の情報発信という観点に着目し、阪神淡路大震災を対象に地震発生直後から主として1 週間の期間の被災地の地元紙である神戸新聞において、報道傾向が時系列でどのように変化したかを調べた。具体的には災害に関する報道傾向とその中での専門家の意見について着目した。また専門家の意見との比較対象として被災者の目線に立った記事の代表として社説を取り上げ、比較を行った。