穀類等を挿入した加熱回転円筒内部における熱的挙動

摘要

近年、各産業分野で、過熱水蒸気を用いる熱処理に 関心が高まっている。これは、過熱水蒸気中での熱処 理によって、加熱空気中での乾燥や他の熱処理とは異 なる性状の製品が得られることが期待されるからであ る。また、過熱水蒸気を用いると、バイオマスや有機 化合物などを燃焼させずに分解させることや炭化させ ることができるなど、空気存在下では不可能な熱処理 が可能であることも過熱水蒸気に関心が高まっている 一因である。過熱水蒸気を乾燥や殺菌に利用するなど、 過熱水蒸気を各種の熱処理に応用することは必ずしも 新しい技術ではないが、製品の高品質化や高付加価値 化、環境対策などがより厳しく問われる最近の社会的 背景から、加熱媒体としての過熱水蒸気の特性とその 利用が改めて注目されるようになった。現在我々は、 廃石膏の高リサイクル化を推進していくために加熱装 置の開発に取り組hでいる。石膏は硫酸カルシウム （CaSO4）の化学組成を持つ鉱物の総称であり、結晶形 態で呼び方が変化し、二水石膏、半水石膏、無水石膏 の３種類に大別され、加熱温度による水分変化で形態 が決まってくる。この水分を取り除く乾燥過程におけ るエネルギー消費を抑えるために我々は過熱蒸気の利 用を考えている。 本研究では、先ず実験の第一段階として、密閉容器に 水分を含hだ材料を挿入した場合における内部の状態 変化を詳細に把握するため、穀類を対象にして加熱回 転円筒部における温度及び圧力変化を詳細に捉え、熱 的挙動について検討した。