熱活性化遅延蛍光材料における三重項‐三重項対消滅の定量的解析

摘要

有機発光材料においては、高電流密度下では外部量子収率(EQE)を低下させる励起子対消滅過程が生じる。近年、注目されている熱活性化遅延蛍光(TADF)材料でもEQE の低下が観測されている[1]。TADF 材料では、一重項三重項対消滅(STA)と三重項三重項対消滅(TTA)の両方が生じるが、これらを区別して評価することは一般に困難である。しかし、我々は極低温における定常発光スペクトルがTTA によりブルーシフトすることを見出し、これを利用することでTTA の評価ができることを報告した[2]。本研究では、スペクトルシフトと発光強度の励起光強度依存性を定量的に解析することでTTA 速度( )を見積もるとともにドープ濃度依存性について調べた。