光線力学治療評価に向けた近赤外発光検出法による光感受性物質の一重項酸素生成量子収率の測定

摘要

光線力学治療(Photodynamic Therapy: PDT)は光と光感受性物質を組み合わせた低侵襲ながhの治療方法である。腫瘍親和性を有する光感受性物質を投与し，腫瘍に光感受性物質が集積された時点で光感受性物質の吸光特性に合った波長の光を照射し，腫瘍組織に光化学的に傷害作用をおよぼす。PDTの傷害作用は光照射により発生した一重項酸素(~1O_2)によるものが支配的であると考えられている。図1にPDTにおける~1O_2生成の反応機構を示す。基底状態の光感受性物質(S_0)が光照射により励起され励起一重項状態(S_1)となり，項間交差(intersystem crossing: ISC)を経て励起三重項状態(T_1)となる。この光感受性物質が周囲の酸素（三重項酸素）へエネルギーを付与することで，~1O_2が発生する。