PV大量導入時の需要ダックカーブ化の改善手法の開発: インセンティブ付与による負荷シフト手法の提案

摘要

本論文では，PV大量導入時の需要カーブのダックカーブ化の改善に寄与する方式として，需要家へのインセンティ ブ付与による負荷シフト方式を提案し，シミュレーション により同方式の有用性を検証した。提案手法では，予め需 要家に複数のインセンティブ額を与えてインセンティブ額 と負荷シフト量の感度を分析し，需要家カーブと目標バタ ーンとの誤差を最小にするインセンティブ額決定方式，お よび個別需要家の負荷シフト量を勘案してインセンティブ 額を配分する方式を提案した。住宅地域を対象としたシミ ユレーション結果より，適切なインセンティブ額を決定し， 全需要家に同じインセンティブを与えた場合でも，需要力 ーブのランプ変動はインセンティブ無しの場合と比較して46%と大きく低減できることを確認した。また，このときの 需要調整単価は14円/kWhと，従来の火力発電設備などに よる需給調整コスト8.8円/kWhに近いコストであることを明らかにした。また，PV大量導入時の需要カーブのダックカーブ化の対応のため，従来の火力発電設備を増強しなけ ればならない場合を想定すると，本論文で提案したインセ ンティブ付与による負荷シフト方式は火力発電設備などの 導入?維持を必要としないため，コストメリットが得られ る可能性がある。