牛の受胎率向上のための生体データ解析，および排卵日推定アルゴリズム

摘要

世界中に人口が1億人を越える国は11カ国あるが，食料自給率が50 %を下回るのは日本だけであり,その値は約27 %と極めて低いものとなっている。このような我が国の食料自給率の中で基幹食料の一つである肉類に着目すると，平成26年度の報告では，肉類全体で55%,牛肉が42%,豚肉が51%,鶏肉が67%となっており，それに対して，昭和40年度の報告では，肉類全体で90%,牛肉が95%,豚肉が100%,鶏肉が97%となっている。いずれにおいても昭和40年代と比較すると著しく低下しており，特に牛肉の低下が顕著である。肉類の食料自給率の低下の要因としては，肥料の高騰化，農家の減少などが挙げられ，中でも牛の低受胎率（受胎率低下）が大きな要因の一つであるといわれている。このような背景から，近年，牛の受胎率を改善する取り組みがなされている。