高速固相接合したSS400鋼スタッドと5052アルミニウム合金板の接合界面組織

摘要

金属ピンなどの突起物（スタッド）を金属の相手材に接合する手法として種々の接合法が開発されてきたが，従来法はアークや抵抗発熱を利用した溶融溶接法であった．被接合材に与える熱影響が大きく，相手材の変形や溶接痕の発生を引き起こす場合があり，薄板や表面処理板への接合において大きな問題となっていた?それらの問題点を解決するため，被接合材を溶融させずに接合可能な「高速固相接合法」が開発された．数ミリ秒という非常に短時間の放電大電流と加圧によりトスタッド底部に設けた環状プロジェクションを軟化?塑性変形させて，板材との接合を行う．本手法では，スタッド形状?電極形状?電流経路を工夫することで，接合材への入熱を低減し，薄板材の変形や板裏面の溶接痕の発生が防止され，ごく短時間での接合が可能となる?アルミニウム合金と鉄鋼材料の異材接合に従来の溶融溶接法を適用すると，接合界面に脆弱な金属間化合物層が厚く形成され，強固な接合が達成できない．しかし，本手法では入熱を低減した接合が行えるため，金属間化合物層の形成を抑制し，強固な接合が期待できる．本研究では，高速固相接合法を用いてSS400鋼製スタッドと5052アルミニウム合金板を接合し，界面組織が接合強度に及ぼす影響を調査した．