異方硬化を示す5000系アルミニウム合金板の材料モデリングと穴広げ成形シミュレーション

摘要

板材成形シミュレーションの高精度化のためには，多軸応力試験1）の実施とそれに基づく材料モデルの高精度化が必須である2）．著者らは二軸引張試験，液圧パルジ試験，二軸バルジ試験を行なうことで，所与の板材に対して適切な降伏関数を決定する手法を提案した3）．前報ではA5182－O合金板に対して多軸応力試験を実施し，決定した降伏関数を用いた液圧パルジ成形や球頭張出し成形のシミュレーションを行い，適切な降伏関数の選択が解析精度向上に有効であることを立証した4）．しかし，これらの成形において発生する応力状態は等二軸引張状態から平面ひずみ引張状態の範囲に限られる．本研究では，平面ひずみ引張状態から単軸引張状態の範囲で応力状態が発生する穴広げ成形を対象にして，前報で作成した異方硬化挙動5）（等塑性仕事面の形状変化）を再現可能な材料モデルを用いて成形シミュレーションを行い，異方卿ヒモデルの有効性を立証したので報告する．