時効処理前に単軸高温プレスを施したAZ91Dマグネシウム合金における時効硬化挙動

摘要

マグネシウムは実用金属材料中最も低密度であることなど多くの優れた特徴を持つことから，航空機や自動車などの輸送機における応用が期待されている．その一九室温において延性が非常に低いという欠点がある．低い延性を改善させる結晶粒微細化や底面集合組織のランダム化といった研究が行われている.しかし，これらの研究はAZ31マグネシウム合金などにおいては進められているが，鋳造用合金として広く利用されているAZ91Dマグネシウム合金においてはまだ確立されていない．　また，AZ91Dマグネシウム合金は時効析出型であるため，時効処理を施すことで金属間化合物β－Mg17Al12が析出し，それにともなう機械的粋性の向上がすでに報告されている1）．一方で著者らは?過去の研究においてAZ91D鋳造板材に単軸高温プレスを施し，強度や延性といった機械的特性の向上に成功している．さらに，プレスされた試料を時効させたところ高い耐力が得られた．そこで，時効処理前に施す単軸高温プレスが，その後の時効硬化挙動に影響を及ぼすことが予想された．