引張変形中の工業用純チタンにおける電気抵抗率のin-situ測定

摘要

棒状試料の温度Tにおける電気抵抗率は，次式で表される。ρ_T＝（S/T）Ω_T　　　　　　　　（1）Sは棒状試料の長芋方向に対する垂直断面積，上は測定した電圧端子間距離である。本研究では，それらの比（S/L）をサイズファクターと呼ぶ。金属材料の電気抵抗率を測定するによって内部組織などを推定することが可能であることが知られている。その精密な測定には，通常，断面積が一定の棒状試料を用いることが必須である。したがって，塑性変形直後の不定形の試料では電気抵抗率を求めることが不可能であると思われる。しかしながら，純金属と合金の電気抵抗率の温度依存性が等しい場合に成立するマテイーセンの法則から，小松らによって導出されたマテイーセン経験式［1]を電気抵抗率が正確に決定できる試料で一旦決定しておけば，不定形の試料でも二定点温度における電気抵抗を測定することで電気抵抗率を推定できる。本研究では引張変形した純Tiの300Kと77Kにおける電気抵抗率を測定することで，マテイーセン経験式を決定するとともに，引張変形中の電気抵抗率を推定し，内部組織との関連を考察することを目的とした。