酸化チタンに静電結合するペプチドによるチタニアナノチューブの表面修飾

摘要

1985年にファージディスプレイシステムが考案されてから, これまで多くの物質に結合するペプチドが発 見された. その中には, 酸化チタンに結合するペプチド[Arg-Lys-Leu-Pro-Asp-Ala]もある. 本ペプチドは酸化 チタン表面の正負に帯電した水酸基と正に帯電したArg側鎖と負に帯電したAsp側鎖がそれぞれ静電相互作用 により結合しており, 酸化チタン以外にも表面電荷を持つチタンと銀にも結合するのが確認されている. こ れに対し, 著者らを含む研究グループは本ペプチドがチューブ状のチタニアナノチューブ[Titania nanotube (TNT)]にも結合するのではないかと考えた. もし結合能を有するのであれば, TNTの表面修飾が可能となり, 高い光触媒性と併せることで新規デバイスの開発が期待できる. 本報告ではその前段階として, TNTに対し てペプチドが結合能を有するかどうか評価を行った.