電子常磁性共鳴による La9.33(SiO4)6O2蛍光体中の Eu~(2+)イオンの配位構造解析

摘要

白色 LED などに用いられる無機蛍光体には発光中心として Eu~(2+)などの希土類イオンが賦活されている。 Eu~(2+)の発光は 4f-5d 準位間の遷移に由来するが、5d 軌道の状態は配位構造によって大きく変化するため、ホ ストあるいは占有サイトによって発光波長は青から赤色まで変化することが知られている。そのため、発光 サイトの配位構造と発光波長の関係に関してこれまで多くの研究が行われてきたが、粉末 X 線回折によりサ イトの決定を行うなど、間接的な手法によるものがほとhどであった。本研究では電子常磁性共鳴装置 (Electron Paramagnetic Resonance; EPR) を用いて、より直接的な配位構造の観測を目的とする。特に単結晶を 用いて角度分解測定を行うことで結晶格子座標系に対する Eu~(2+)(4f7,8S7/2) の配位子場の角度依存性を調べる。 これにより、配位構造の異なるカチオンサイトのうち、Eu~(2+)が優先的に占有するサイトの特定を行う。本研究 により、ストークスシフトの機序となる配位構造設計への寄与が期待出来る。