1,2-ジメトキシエタンを用いたNa3PS4 固体電解質の液相合成と全固体電池への応用

摘要

不燃性の無機固体電解質を用いた全固体電池は、安全性·信頼性の高い電池として期待されている。また、 豊富で安価なナトリウムを用いた電池が注目されている。我々は、メカニカルミリング(MM)法とそれに続く 熱処理によって作製した立方晶 Na3PS4 が室温で10-4 S cm-1 以上の高い導電率を示すことを報告しており、こ のガラスセラミックスを用いた全固体電池の室温作動にも成功した1)。全固体電池の実現に向け、固体電解 質のより簡便な作製方法が望まれており、その一つとして液相法が挙げられる。液相法では、分散媒や溶媒 となる液体中で原料を撹拌するなどして得られる懸濁液や溶液を媒質留去、乾燥、熱処理することによって 固体電解質を作製する。この方法は、汎用性が高く、大量合成が可能であるなど実用化に適した方法である。 一方で、固体電解質の液相合成における適切な反応条件は明らかにされていない。我々はN-メチルホルムア ミド(NMF)を用いてNa3PS4 の原料からの液相合成に成功したが、不純物も生成し、導電率はMM 法で作製し たものより低下してしまうことが課題であった2)。