完全表面結晶化ガラスにおける結晶配向性向上と Pockels 効果

摘要

ガラス材料へ半永久的な二次光非線形性を発現させるため，結晶化は有効な現象であると認識され ており，結晶化ガラスは形状自由度の高い光波制御デバイス材料として応用が期待される．しかし，ガラス と結晶との複合材料ゆえに，既存の光学デバイスに利用可能な光学特性は得られていなかった．本研究グル ープでは，非線形光学結晶 Sr2TiSi2O8（STS）から成る，低光損失と高結晶配向性を有する完全表面結晶化ガ ラス（Perfectly-surface-crystallized glass-ceramics; PSC-GCs）を開発し，Pockels 効果の発現を実証している （Pockels 定数：r ~ 2-3 pm/V）．1-3) 結晶化開始温度（Tx）および結晶化ピーク温度（Tp）付近の熱処理で得ら れた PSC-GCs において，前者の試料からより大きな二次非線形光学定数が得られている（Tx: d31~4.2 pm/V, Tp: d31~4.0 pm/V）．4) 本研究では，PSC-GCs の高い Pockels 定数の発現を目的とし，熱処理温度が与える結晶配向 性および Pockels 効果への影響を調査した．