Ni/Al 型層状複水酸化物の陰イオン交換特性に対する反応温度の影響

摘要

層状複水酸化物（LDH）は、無機陰イオン交換物質としてよく知られている。2 価金属が構成す る水酸化物層中の一部が 3 価金属に同形置換することにより発現する正電荷を補償するために、層間に交換 性陰イオンを保持した構造をもつ。LDH は、比較的高い陰イオン交換容量を有することから、環境水中に含 まれる様々な有害陰イオンの高効率除去用素材の一つとして期待されている。LDH を水浄化処理に利用する ためには、LDH が示す陰イオン交換選択性の制御が重要となる。我々はこれまでに、LDH の陰イオン交換選 択性の発現機構の解明を目的として、LDH の陰イオン交換特性について反応と構造との両面から研究を進め てきた[1], [2] 。その結果、Ni と Al からなる LDH の陰イオン選択性が Ni/Al 比により大きく変化することや、 層間に取り込まれた陰イオンの熱振動の大きさが陰イオン種やNi/Al比により変化することを明らかにした。 しかし、この陰イオン選択性の発現機構についてはまだ不明な点が多い。本研究では、Ni/Al 型 LDH （Ni/Al(n)LDH，n：Ni/Al 比）を用いて塩化物イオンからハロゲン化物イオンへの陰イオン交換反応に対する 反応温度の影響を明らかにすることを目的とする。