形状記憶合金を適用した衛星搭載用制振装置の開発

摘要

衛星搭載用振動絶縁装置として減衰材料に超弾性形状記憶合金を適用したアイソレータの開発を行っている.本研究ではCu-Al-Ni合金系の単結晶形状記憶合金を用いることによりオイル等の粘性流体を用いたアイソレータ並みの大きな振幅を許容し，高い減衰力と振動絶縁効果を有する実用的なアイソレータを開発した.開発したアイソレータは全金属製であり，従来の粘性流体を用いたアイソレータで懸念される，流体の漏洩やアウトガスの課題を解決し，また減衰特性の温度依存性を大幅に改善できる.更に構造が単純であり，小型軽量化を可能とする.今回の試作試験の結果，本アイソレータはヒステリシス減衰が支配的であるため，振動絶縁特性は理想的な-40dB/dec，損失係数はη=0.48の非常に良好な性能を確認した.本成果に基づき今後さらに省スペースで軽量かつ短納期で低コストな実用的衛星搭載用アイソレータの開発と製品化を進めていく予定である.