人工流星の大気圏突入環境模擬時のアーク加熱風洞の特性評価

摘要

地球の大気層は気候に大きな影響を与える．例えばオゾン層は有害な紫外線を遮蔽するが，そのオゾン層の一部が破壊されれば，大気汚染を引き起こし，異常気象や健康被害をもたらす．また地球の大気は大気圏突入体の突入速度を下げ，空力加熱により消滅させる．このように大気圏では様々な現象が起こっており，大気の諸特性についてデータを得ることはその様々な現象を深く知り，また未解明の問題を解決するために重要である．しかし，高層大気の中でも，特に中間圏におけるデータは少なく，さらに高度 60km付近の電離 D層のデータはほぼ皆無である．世界中の機関が何十年もの間，観測ロケットや気球を用いた大気観測実験を行ったが，観測できる高度の制限や，コストが高いことによる実験の頻度の少なさが電離D層における高層大気特性値の取得を妨げてきた．そこで，コストが低く高度の制限を克服し，電離D層における大気特性値が得ることが可能な新たな手法が必要とされている．