自己治癒セラミックス複合材の有限要素解析（第1報 線形破壊力学に基づく焼結性の確率的ばらつきの導入）

摘要

セラミックス複合材は軽量·耐熱材料として注目されているが，その脆性破壊は確率的な挙動を示すため，ワイプル分布を用いた整理がなされている．このため，多数の供試体を用いた試験結果が必要となり，他の延性材料のように有限要素法による強度評価は活用されにくい．セラミックスの強度のばらつきは，焼結の結果による相対密度，欠陥（ポア）および粒径などの微視構造に起因する．このため，有限要素法を用いてセラミックスの強度評価を行う場合，焼結性による微視組織の影響を適切に組み込む必要がある．セラミックス複合材の開発や活用において，このような焼結性のばらつきを考慮した数値シミュレーション解析技術の確立は重要課題の一つとして位置付けられる．