( JMS-5-9005) 近年の金属系バイオマテリアル研究開発の展開：チタン系バイオマテリアルを中心として

摘要

金属系バイオマテリアルは、特に大きな荷重を支持する機能が重要視されるインプラントを中心とするインプラント構成材料として多用されてきており、依然として重要な位置を占めている。金属系バイオマテリアルの合金設計では、細胞毒性やアレルギー反応性の低い合金元素を選択するなどの生体への安全性（生物学的生体適合性）を考慮した合金設計が本格的に開始され、その上に最近盛hである生体およびインプラントの両側から見た生体適合性因子であるヤング率を主体とする力学的生体適合性を考慮した合金設計がなされるようになるまでの期間はそれほど長くはない。主な金属系バイオマテリアルは、ステンレス鋼(主にSUS 316L ステンレス鋼)、Co-Cr-Mo 合金ならびにチタン（Ti）およびTi 合金であるが、上記のような一連の金属系バイオマテリアルの合金設計·研究·開発は、主にチタン合金で精力的に進められてきたと言えよう。そこで、本講演では、近年の金属系バイオマテリアルの開発動向から、チタン合金を中心として、特にヤング率を主体とする力学的生体適合性の観点からの金属系バイオマテリアルの研究開発の展開について述べる。