(J11-1314)スポンジチタン製造用鋼製容器のFe 溶出におよぼす表層組織の影響Effect of microstructure of surface layer in steel vessel used for sponge titanium manufacturing on Fe elution

摘要

チタンに含まれる不純物元素のFe は、チタン展伸材の機械的性質や耐食性に強く影響をおよぼす元素であり、チタンの優れた特性を十分発現させるには、その量を適切に制御することが重要である。このFe は主に、鉱石（TiO2）を塩化することで製造したTiCl4 を溶融Mg と反応させ金属チタン（スポンジチタン）に変換する「還元工程」において、鋼製の容器から溶融Mg 中に溶出することで生じる。一方、Fe の溶出量は、未使用の鋼製容器を初めて還元工程に使用した際に顕著であり、使用回数とともに減少する傾向がある。すなわち、生成したスポンジチタンと鋼製容器内面が接触することで、容器内面近傍の性質が変化し、溶融Mg 中へのFe の溶出が抑制されていると思われる。そこで、この現象の詳細を明確化するため、鋼製容器内面の状態および実使用環境を模擬した実験を行い、鉄鋼材料表面近傍組織の変化を解析し、その変化が溶融Mg 中へのFe 溶出に及ぼす影響を調べた。