(411-0296) 引張応力下におけるTi-20massV 合金中のω析出物の粗大化成長榊原 想 金沢大学自然研

摘要

Ti-20mass%Mo 合金を大略773K 以下の低温域で時効すると，偏長楕円体状ω 析出物(軸比は約2)が形成される．最近，同合金を573K で時効し，ω 析出物の成長への引張応力もしくは圧縮応力の影響を調べ，外部応力の向きと負荷方向にそったω バリアントのミスフィット?M の符号に依存して，成長が促進されたり，ほとhど影響を受けなかったりする場合があることを示した．さらに，同合金を673K で時効し粗大化成長への引張応力(500MPa)の影響についても調査した．応力を負荷せず時効(自由時効)した場合，析出物の直径d と時間t の間にはdn∝t という関係が成立し，n=3.1 であるのに対し，引張応力時効においてM>0 のときn=2.5となり粗大化成長が促進されることが明らかになった．今回は，Ti-20mass%V 合金を用いて?析出物の粗大化成長への引張応力の影響を調べた．この合金中のω 析出物は，Ti?Mo 合金中のそれとは異なり，約20nm以上では球状から{100}β 晶壁面を持つ立方体状となること，そのω 析出物の平均ミスフィットはTi?Mo 合金のそれより3 倍程度高いことが特徴である